アカカッコ 三宅・多摩だより 第5号 平成12年11月12日発行 発行 三宅島と多摩をむすぶ会 編集委員会 代表 干川剛史

この情報紙はホームページでも見ることが出来ます
http://xsvr.center.metro-u.ac.jp/tokyo/tama.html
http://www.miyakejima.net/tama-tayori/


第5号の項目

<お知らせ>
(1)三宅島自主保育サークル「どるふぃん」開催予定
(2)お母さんのためのQ&A?臨床心理学の先生がお答えします
(3)勤労福祉会館ボウリング施設の提供について
(4)三宅島農協からのお知らせ:JA三宅島扱い求人一覧
(5)永山健康ランドの食事会を通じた交流会へ御招待
(6)三宅島災害・東京ボランティア支援センターから

<ご案内>
(1)多摩ニュータウン地区駅周辺案内その1南大沢駅周辺

<ご報告>
(1)町田市消防団家族交流の集い
(2)都立大三宅島特別展
(3)ベビーカーバンクの実績
(4)三宅視察終了
(5)大妻女子大学多摩祭古本屋の売上金を三宅島の義捐金として寄付
(6)物資リストへのご記入、有難うございました

<催し物のご案内>
(1)都民交響楽団チャリティーコンサートのご案内
(2)「三宅の縁日」開催のご案内

<三宅島住民の声>
(1)友よいずこに
(2)避難生活の長期化に思う
 

・(編集後記)
 




 
お知らせ

(1)三宅島自主保育サークル「どるふぃん」開催予定

第2回も無事すみました。秋川からたくさんのプレゼントも頂きました。「うれしー」と子供たちもママたちも大喜び。だけど、みんなに平等じゃないとうれしさも少し影が差します。
多くの方の参加をお待ちします。また、遠かったり都合のつかない人も連絡下さい。またの機会につなげたいです。
 第3回  11月10日(金)12時から15時
 第4回  11月24日(金)11時から15時
 第5回  12月 8日(金)11時から15時予定
 第6回  12月22日(金)11時から15時予定

場所はすべて「せいがの森保育園」(八王子市別所1‐58)

11月中の2回はほぼ確定ですが、12月はまだ変更するかもしれません。その前にまたこちらに書き込みますので、ご確認ください。
保育園の庭でおもいっきり遊びましょう♪

連絡先 高梨典子 
電話0426―75―6637

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(2)お母さんのためのQ&A―臨床心理学の先生がお答えします―

 次の第6号では、お母さんのためのQ&Aとして、子育てやお母さんのメンタル・ケアについての特集を組みます。
 「島にいるときと比べて、すぐ泣くようになった」、「赤ちゃん返りしたように思う」、あるいは、「子供を叱った後、自己嫌悪になってしまう」など、小さなお子さんをお持ちのお母さん方の育児の悩みに、大妻女子大学の臨床心理学の先生がお答えします。
 紙面では、お名前など、プライバシーに関する一切のことは載せませんので、安心して普段、疑問や不安に思っていること、なんでもいいので、遠慮せずに質問をお寄せください。
 お寄せいただく質問は、次のところまで。
e-mail mtanaka@otsuma.ac.jp

FAX 042―372―9207
〒206―8540 東京都多摩市唐木田2―7―1
大妻女子大学 人間関係学部
田中 優(たなか まさし)
また、わからないことは、
電話 042―372―9204 (社会心理学共同研究室)まで。


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(3)労働福祉会館ボウリング施設の提供について

勤労福祉会館ボウリング施設の提供について
1 概  要
 三宅島から避難している小中高校生に休養の場を提供する目的で、東京都五日市勤労福祉会館のボウリング施設を無料で開放します。
2 実施の時期
 平成12年10月28日(土)から当分の間
3 対象者
 三宅島の小中高校生及び引率者
4 利用方法
 (1)個人利用の場合
    受付で三宅島の生徒であることを申し出る。ただし、小学生については保護者の同伴が必要です。
 (2)団体貸切り利用の場合   利用日の一週間前に予約をする。
 (3)時 間
   (1)、(2)の場合とも中学生・高校生のみの利用は午後5時までです。
5 会館所在地
 東京都五日市勤労福祉会館 あきる野市五日市110―1
 JR五日市線・武蔵五日市駅下車徒歩6分
 電話042―595―0391
6 施設概要
 (1)開館時間              午前9時〜午後9時
 (2)ボウリング室利用時間  平日 正午〜午後9時
               土日祝日 午前10時?午後9時(受付は午後8時までです)
 (3)休館日         第1・第3月曜日(変更になる場合があります)
  12月29日〜1月3日
 (4)施設規模        4レーン(スコアのコンピューター処理)

※上記内容に関する問い合わせ先
 (財)東京都勤労福祉協会事業課
 中央区新富1―13―14 労働スクエア東京内
 電話03―3555―2128  FAX03―3555―3375


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(4)三宅島農協からのお知らせ:JA 三宅島扱い求人一覧

 就労事業がスタートしました。東京都が計画した「都公共施設のクリーンアップ事業」につきましては、就労希望者が約80名、その中の30名が今回の就労事業(東京都農業試験場、畜産試験場、林業試験場)に従事することになりました。
平成12年10月23日から11月6日までと、22日頃までの就労(土、日、雨天休み)です。60代?70代の高齢者が中心ですが、最初の就労班です。
 この様な就労を今後も継続できる媒体になれば良いと思います。
求人が次のように入っています。希望する求人がありましたら、左記までご連絡下さい。
三宅島農協東京事務所
東京都渋谷区代々木2―10―12 南新宿ビル4F
電話03―3370―4281


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(5)永山健康ランドと食事会を通じた交流会へ御招待

永山健康ランドの御好意により、南多摩5市(八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市)に避難されている方々を対象に、
お風呂(30種類)と食事会にご招待し、島民の交流の場を下記の日程で提供していただけることになりました。

第1回
日時 11 月 21 日(火)
午後4時〜 入浴開始
午後7時〜 夕食会と交流会
招待者数100名(5市合計)

第2回
日時11月22日(水)
午前9時? 入浴開始
午後12時? 昼食会と交流会
招待者数100名(5市合計)

場所:永山健康ランド(多摩市永山1―3―4)
申込先:現在お住まいの市の社会福祉協議会
八王子市社会福祉協議会  電話0426―20―7338
町田市社会福祉協議会   電話042―722―4898
日野市社会福祉協議会   電話042―582―2319
多摩市社会福祉協議会   電話042―373―5611
稲城市社会福祉協議     電話042―378―3366

申し込み期間 
平成12年11月6日〜15日 15時まで
各日先着順で定員になり次第閉め切らせて頂きます。ご了承下さい。


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(6)三宅島災害・東京ボランティア支援センターから

支援センターでは、多摩ニュータウン地区やその他の地域で三宅島の方たちの世話役および連絡役となって下さる方へFAX機を提供しております。
 FAX機の設置を希望される方は、「三宅島と多摩をむすぶ会」事務局まで、お問い合わせ下さい。
電話042―357―7012


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ご案内

(1)多摩ニュータウン地区駅周辺案内 その1

南大沢駅周辺
現在、京王相模原線、南大沢駅は、今秋開店となった、日本最大級のアウトレットモール「ラ・フェット多摩」を目指す人達で、ごった返しています。
見所は
・三宅島の方のための懇談室
・イトーヨーカドー
・ラ・フェット多摩
・都立大学
です。

三宅島の方のための懇談室

南大沢福祉センター内にある懇談室。三宅島から避難された方のために、1室開放されております。
三宅島のビデオやインターネットをご覧になれます。
また、お風呂も完備されております。三宅島の皆さんの情報交流、くつろぎの場として、ご活用ください。
イトーヨーカドー
アウトレットモールに負けじと安売りをしています。生活必需品、食料品等、品数豊富です。
ラ・フェット多摩
外国人旅行者が記念撮影をするほど、都内の観光施設としても有名です。
マスコミに多く取り上げられています。
アウトレットとは、工場からの直販や、在庫処分のため、市場価格よりかなり安い価格で、販売されている商品です。
都立大学
ラ・フェット多摩の騒々しさがぴたりとやみ、落ち着いた雰囲気になります。広大な敷地に緑がおおく、公園のように、近くの若い主婦達が子供を連れて散歩する姿も見られます。

 
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ご報告

(1)町田市消防団家族交流の集い

10月29日は、雨でしたが、町田市に招待されて、「町田市消防団家族交流の集い」に行ってきました。
複数のテントがはられ、屋台が出ていました。食べ物はみんな無料で、三宅島からの避難者、私の家族も含めて13人が避難後初めて顔をあわせました。
懐かしかった・・・島弁が飛び交った・・・
やはり聞かれるのは今みやけはどうなっているのか
自分の家は大丈夫なのか・・・そのことが一番の
気がかりだと・・・

避難して町田市にお世話になってからはや一ヶ月半が過ぎようとしている中で今回の町田市の招待に感謝いたします。
会場からの帰りには、農家に寄って柿もぎをさせていただき、帰りにキャベツや柿をお土産にいただきました。ありがとうございました。
来月、11月2日には、冬物の衣料を配布していただけるそうです。そのときには、またみんなと会えると思うと嬉しく思います。
今日、会場に来られた人の中には特養老人ホームに入られている方も6人おられるうちの4人の方が見えて、みんなとの再会に涙していました。
「災難にあったなぁ?よ、みんなぁ、元気でやってたぁだかよ」
と自分のことはさておき、みんなの心配をしていました、
「わたしたちゃ、いいところに入れてもらった、お世話してくれる人もみんないい人でありがたいこった、みんなぁ、どこにいるだよ、ちゃんとへやぁあんだかよ」・・・・・
目頭が熱くなった・・・
こちらに避難してきてからだろうか、涙もろくなった様な気がしてならない・・・

(飯沼義仁)

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(2)都立大三宅島特別展

第52回都立大学祭で、大妻女子大学の協力のもと、11月2日から5日まで、三宅島特別展を開催しました。
およそ400人の方が来場され、三宅島の写真や、ホームページ上で掲載されている避難日誌などに、多くの方が関心を持ってくださいました。三宅島の方も20人ほどお見えになり、三宅島の空中写真を真剣にご覧になっていました。
多摩ニュータウンの住民の方や都立大学生に改めて、三宅島の現状を知る機会になり、今後のよいきっかけになったのではないかと思います。
また、この活動は大妻女子大学から始まった三宅島写真展、大学祭キャラバンの一環として行われました。日本女子体育大学・東京女子体育大学・江戸川女子短期大学・東京学芸大・杏林大学・中央大学の各大学でも開催されました。

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(3)ベビーカーバンクの実績

 以前に、ベビーカーバンクをご利用になった方から、車に付けるチャイルドシートを、「物資リスト」に記入し忘れたというご連絡を頂きました。
 それで、多摩・未来MLに、私からそのことをメールでお伝えしてみました。数時間後、メールを御覧になった方から、チャイルドシートをご提供下さるという、嬉しいお申し出があり、一週間たたないうちに、上柚木と向陽台の三宅の方に、それぞれお届け頂くことができました。ありがとうございました。

ベビーカーバンク連絡先:
三宅島と多摩をむすぶ会事務局電話042―357―7012 FAX042―357―7013

(尾池佳子)

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(4)三宅視察終了

 既にテレビや新聞で報じられている通り、都、村による視察は5日、無事に終了しました。現地を見た感想を述べたいと思います。
 まず、三宅の被害は甚大な部分は甚大ですが、無事に残っているところは無事だということです。大きな被害を受けた場所は確かにあります。我々は坪田漁港から神着経由で阿古まで行きました。その間、三七スポーツ公園のあたりで、都道が半分以上、崩落している ▽島下付近で海沿いの家が泥流が直撃して、全壊に近い状態 ▽島嶼保健所の北側で1軒が全壊、1軒が泥に1階が覆い尽くされている ▽伊豆―伊ケ谷の境付近で都道から集落に入ったところで、集落内の小さな橋が落ちている――などです。泥が床上近くまで来ている家も各地でみられました。また、阿古―坪田は道路の被害が大きく、最初から視察の対象外でした。しかし、阿古港付近は異常は感じられませんでした。村役場付近も同様です。都道沿いを見た限り、かなりの被害を受けていると感じた建物はそれほどなかった(見た目ですが)だったと思います。報道は被害を受けたところを取り上げますが、そうでない部分も沢山あります。
 また、今回、視察が波が高くて1日伸びたせいもあり、数時間の視察のために、神津島と船中に4泊5日の行程となりました。天気予報もあまり当たらず、全員ガスマスクを持ち、ガスの風向きによって、スケジュールが変更されました。さらに、漁船の手配や警察、消防による警備態勢などを考えると、残念ながら全員が一時帰島するのは物理的に非常に困難と思いました。村長もそのようなことをふまえて、記者会見で一時帰島は無理と言ったと思います。
 現地の様子は私が代表取材して、各新聞に送りました。11月6日の毎日、読売、東京、産経都内版、11月7日の毎日都内版に記事が掲載されています。参考にしてください。
(文責: 毎日新聞 柴沼)

 

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(5)大妻女子大学多摩祭古本屋の売上金を三宅島の義捐金として寄付

大妻女子大学多摩校図書館主催の古本市では、1冊10円、20円という低価格にも関わらず、23、721円の売上になりました。
今回、図書館の方から多摩祭実行委員会に、この売上金を役立ててほしいとの申し出があり、実行委員会執行部で話し合った結果、三宅島へ寄付することにしました。
古本市売上金を日本赤十字社東京支部へお送りしましたので、ご報告いたします。
(平成12年度 大妻女子大学多摩祭実行委員会)

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(6)物資リストへのご記入、有難うございました

 先日配布した「物資リスト」へのご記入、有難うございました。
 各団地の世話人の皆さん、配布と回収、ご苦労様でした。いずれも沢山の希望がありました。(ホットカーペットや電気毛布のように100を越えるものあり、どのような形で市民から提供をうけることができるか考えているところです。)希望のあったもののいくつかについては市民からの提供、メーカーからの提供を受ける準備をしています。
 希望のあったすべての数が揃うまで、暖房器具については、高齢者世帯、乳幼児のいる世帯、障害児を抱えている世帯から優先的に配布させていただきたいと思います。
ご理解のほど宜しくお願いします。
「物資リスト」の動きについては、随時、この「アカコッコ」で報告をさせていただきます。  
市民から提供を受けますので、希望された品物すべてをお届けできないことがありますので、あらかじめご了承の程、宜しくお願いいたします。
 (八王子市社会福祉協議会、三宅島社会福祉協議会、三宅島と多摩をむすぶ会)
洗濯洗剤、全戸配布
 本日の「アカコッコ」の配布と一緒に、洗濯洗剤をお届けしました。(ダイエーからの提供です。)届いていないお宅がありましたら、むすぶ会事務局(電話042―357―7012)、または、南大沢福祉センター(電話0426―79―2205)まで御連絡下さい。

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催し物のご案内

(1)都民交響楽団チャリティコンサートへどうぞ! 

都民交響楽団チャリティコンサート」が、下記の要領で開催されます。
三宅島の皆さんは無料です。
お誘い合わせの上、御参加下さい。
日時 11月18日  (土)
午後7時開場 7時30分開演
場所 南大沢文化会館  主ホール(当日先着500名様)
指揮 末廣  誠
うた 田中三佐代
演奏 都民交響楽団
曲目 ドヴォルザーク
交響曲第9番「新世界より」 他


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(2)「三宅島の縁日」開催のご案内

主催 社会福祉法人三宅島社会福祉協議会および三宅島児童・生徒支援センター(あきる野市下代継221秋川高校内 代表 中村英晴:あきる野市社会福祉協議会 電話042―550―9263)

場所 秋川高校第1・第3寮前及びメタセコイア並木通り

内容 バザーコーナー、大道芸コーナー、食べ物やさんコーナー等による催し

日時 平成12年11月18日(土)午後1時から午後4時
主催者の申出により送迎バス付
集合場所 八王子市南大沢駅前
集合時間 11時45分
○送迎関係について、八王子の集合場所を特定し、その集合場所に送迎者がきていただける。(マイクロバス)
○行き―八王子出発正午 帰り―あきる野出発3時予定

送迎バスの関係がありますので、ご希望の方は平成12年11月15日
(水)までに下記にお名前、人数などをご連絡ください。

連絡先:八王子市職員組合
住所:〒192 八王子市元本郷町3―24―1(市役所内)
電話0426―25―3616(直)
電話0426―20―7337(ダイヤルイン)
FAX:0426―21―1322


 

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三宅島住民の声

(1)友よいずこに

三宅は暖かく静かで平和な島だった。
村では高齢者(トキワクラブ)の集まりが月に二回あり、みんなでお茶をのみながら話合いをしたり、唄をうったり、時には踊りがでたりして、とても楽しいクラブ会でした。今では想い出だけが残っております。
突然の噴火で島外への避難指示により全島民が都の御配慮で、決められた各方面の住宅へと、お互いに別れをおしみながら去って行きました。
私達クラブ会の友もみんなちりぢりになってしまいました。今、わかっているのはたった三人だけで、いまだに行き先もはっきりせず連絡もついておりません。遠くて会えなければ電話で声だけでもきけたら、どんなに嬉しい事でしょう。
「ときわクラブの皆さん元氣ですか?」お互いに、ひどい目に合ってしまい、別れ別れの生活ですがこれも天災なら仕方がありません。今の私達は、東京都、地方行政、各地域の方面からの援助や、全国からの御支援などによってささえられております。ほんとうにありがたい事です。
噴煙に追われ慣れない都会生活をはじめてから、はや二ヶ月経ちました。いまだに島へ帰れる見通しもついておらず、お互いに不安で心細い毎日ですが、いくら辛くても苦しくても、歯をくいしばって生きて行かねばなりません。たとえ、はなればなれの生活でも、みんな、ひとつ、きずなで固く結ばれています。
島へ帰って又会える日まで、身体を大切に元氣を出してがんばりましょう。ふるさとは、今は灰色の島でも、いつしか再び緑がよみがえり、美しい姿で私達島民をむかえてくれる事でしょう。その日が一日も早からん事を祈りながら友よ、くじけずに、三宅へ帰れる日まで“ガンバロウヨ”
(ときわクラブ会員 菊地ナミ子 電話0426―74―5538)

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(2)避難生活の長期化に思う

 11月7日、朝日新聞に「火口温度が過去最高に」とのニュース。読売新聞に「変わり果てた島」写真入りで。など、我々が期待する逆の方向に現地は動いている。
 9月2日、全島避難指示から2ヶ月が経過し、島民3800余人の全て無言で、この動向に耐えている。
 三宅島の噴火史を見ると、今回の様な荒れ狂う噴火は例がない。専門家さえ、地下のマグマの動きが解らない。二酸化硫黄ガスが日量3万t?5万t、それ以上の噴火量の時もあった。少々の増減はありしも、毎日の噴出量が何万tとは、三宅島の住民が一時帰島出来るか否かではなし、地球環境規模での重大な事態ではないのか。改めて自然の大きな力、恐ろしさを教えられた感じがする。
 伊豆七島の島々では、噴火を御神火(ゴジンカ)として敬い、その被害を神が人に課す試練として恨まず、受認し、全ての住民が結束して克服して来た。
 今日の噴火で強く感じた事は、三宅島の島民は過去の噴火を前提に少々の甘えがあったのではないか「避難しても短期間だ、近じか大きな噴火を起こし、一気に終息するさ」これが本音であったと思う。
 しかし、この先入観は根底から崩された。確実に長期化が求められている。ならば我々は冷静に、これからの数ヶ月をどのように生活設計するか、避難民としての甘えは許されない。各自の都合と各人の能力で最大限の努力を傾注し自活していかなければならない。 
 その意味で、これからの数ヶ月を考えたとき、想像以上の苦難と、自然の厳しさを想定しいろいろな対応をしなければならないと思う。
 11月下旬から3月上旬までの約3ヶ月間多摩地区以北の気象は厳しいと聞いている。寒さに加え、雨が降ったときの外での仕事はさらに過酷になる。室外、田畑等の就労には、かつて経験したことのない色々な事態が待ち受けている事であろう。
 短期雇用の就労から、できる限り長期の職場、体力の限界に近い仕事から、少々自分に余裕のある労働、終日外での仕事から、ある程度室内に近い仕事等に、決して「楽な・賃金の良いを優先」と言っているのではなく、人の嫌がる仕事に率先し、誰よりも身体を動かし、仕事に打ち込む人材こそ、求人側に喜ばれる人、しかし今日我々の選択肢は100メートル走ではなく、数ヶ月?1年のマラソンレースのスタートである。各人の能力と体力、事情などを考えて進む道を選ぼう。
 色々な求人情報がある。どんなに忙しくとも、どんなに疲れていても、どんなに不愉快であっても、手元の情報には確実に目を通そう。見るように努力しよう。家族の中で相談し、協力して視野を広くしよう。一方、行政の責任は広く、重い。3800人の村民は今何を求めているのか、何が急がれるか、今後どのようなことが想定されるか、避難している村民の側にたって視点をかまえ、行動を早める、その事が早急に求められていることを認識しよう。お互いに不満、不平を並べあう中には解決の道はない。全てが謙虚で誠実で、感謝の気持ちを忘れず、自分の為より全体の為を優先し行動する、そのように皆で心がけたいものである。 
日本全国の人達が、三宅島の災害と、避難中の我々の一挙手一投足を見守ってくれている。 
多くの島民の中には、色々な考えや、事情もある。しかし一人一人の良心、常識、意地、気迫、プライド、その全てを結集し、何年か先に三宅島噴火史を語られる時、多くの人々に「三宅島の人達は本当にがんばった」と言ってもらえる様な、避難生活をしたいものである。
難しい!しかしやればできる!自分自身の力で!
古い格言に
「なせば成る、なさねば成らぬ何事も、成らぬは、人の成さぬなりけり」
先人はこの様に書き残している。頑張ろう。頑張りたい。
(JA三宅、組合長 奥山彦一)


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(編集後記)

 「アカコッコ―三宅・多摩だより―」第5号、いかがでしたか。
「アカコッコ」も、おかげさまで、通算5号を数えるようになりました。
その間に、編集会議に出席される三宅島の方たちや「三宅島と多摩をむすぶ会」のメンバー、ならびに、都立大学と大妻女子大学の大学院生・学生を主体とする編集スタッフも十数名と増え、「アカコッコ」の編集にあたる人の面で充実したものとなりつつあります。
また、避難生活をされている三宅島の方たちや多摩ニュータウン地区で支援活動にあたられている方たちからの投稿を多数いただけるようになり、紙面も充実したものとなってきました。
 投稿記事については、原則として、字句上の明らかなあやまりを除き、そのまま掲載させていただいています。
 三宅島の方たち、多摩ニュータウン地区で支援活動にあたられている方たちからより多くの投稿をいただければ、幸いです。
(「アカコッコ―三宅・多摩だより―」編集委員会代表 干川剛史)


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